英国ウォームズリーで2023/5/31 … 7/23にかけて行われる
オペラ フェスティバル ガーシントン・オペラ ( Garsington Opera)の演目とキャストが発表されたので、注目したい歌手には解説を入れつつ見ていきたいと思います。
動画がYOUTUBE上にない歌手は、出番の少ない役は割愛。
「これはちょっと・・・」と思う歌手はネガティブなコメントだけになってしまうので、基本コメントは書かないようにします。
❶ロッシーニ:セビリャの理髪師
<CAST>
Count Almaviva Andrew Stenson
パッサッジョ付近(5線の上のファ”F”の音辺り)が鼻に入ってしまう傾向があるのですが、
更に上のラ♭”As”やラ”A”になるとしっかり抜けた明るくて軽い良い響きになりますので、ロッシーニを歌うにはかなり良いテノールかもしれません。
Figaro Johannes Kammler
ちょっと古い音源ですが、2018年のOperaliaでの演奏。
持っている声に重量感があって、高音も強いのでフィガロを歌うには適任といった感じでしょうか。
起用にリートやバッハまで歌えるサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)のようなバリトン。
良い歌手であることは間違えないのですが、個人的にはイタリアオペラを歌うバリトンであればもっと開いた声が好みです。
前述の通り、持っている声に重さはあるのですが、開放された声ではないので響きに深さがなく、低音や弱音にした時に響きが貧しくなってしまう。
Rosina Katie Bray
Dr Bartolo Richard Burkhard
こちらも2018年の演奏なのでちょっと古いですが、高音にティンブロ(良いテノールのような鋭い芯のある響き)があって、勢いに任せて歌っているようでいて、しっかりした発声技術で歌えている良い歌手だと思います。
持っている声は、フィガロを歌うKammlerより軽いですが、低音の響きはBurkhardの方が芯が細くならずしっかり鳴っていることからも、それは伝わるのではないかと思います。
Don Basilio Callum Thorpe
Berta Josephine Goddard
❷モーツァルト:ポントの王ミトリダーテ
<CAST>
Mitridate Robert Murray
Aspasia Elizabeth Watts
上品で透明感があって、一般的な軽いソプラノよりメゾっぽい温かみのある音色なのが良いですね。
ただ響きのポイントとしては喉で止まっている感じがあり、レガートにもまだまだ改善の余地が見られます。
Farnace Iestyn Davies
デイヴィスは現代屈指のカウンターテノール。
まるで羽が生えたような声とでも言えば良いのか、余計な力みが一切ない本当に素晴らしいCTだと思います。
Ismene Soraya Mafi
Arbate John Graham-Hall
Marzio Joshua Owen Mills
➌Rシュトラウス:ナクソス島のアリアドネ
<CAST>
Ariadne Natalya Romaniw
Bacchus Young Woo Kim
Zerbinetta Jennifer France
The composer Polly Leech
響きの質が整っていて、ドイツ物を歌うリリックメゾとして声は良い感じなのですが、
上の歯見せて歌うのがどーしても気になってしまう。
この口のフォームではどうしても喉が上がり易いし、唇を効率的に使えないので発音が前に出せない。
フォームさへちょっと見直せば良い歌手になりそうなのですが・・・。
His music master William Dazeley
The dancing master John Graham-Hall
Brighella Innocent Masuku
Truffaldino Ossian Huskinson
Scaramuccio Richard Pinkstone
Naiad Claire Lees
アリアドネのキャストは正直圧力で押した声の歌手ばかりでしたね。。。
アリアドネの出演予定者の歌唱を聴いてから、デイヴィスの歌唱を聴けば、彼が如何に無駄な力みのない発声をしてるかが体感的にわかると思います。
こうして全体を見ると、セビリャが明らかに主要キャストのレベルが高いです。
全然関係ないですが、自分自身の演奏を録音ではなく動画撮影してみたので、
物好きな方は聴いて頂ければ幸いです。
本当はもう一曲、ヴェルディの二人のフォスカリというオペラのアリアも撮ったのですが、上手く撮れていなかったので、近いうちに録音だけでもアップできればと思います。
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